南予医学雑誌 第14巻
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友松:なんよだより南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-85-ありません。宇和島では我々開業医の手で在宅医療を推し進めて行かなければなりません。 全国ではもう既に在宅医療が盛んに行われており,その先進地がたくさんあります。4月に長崎在宅Drネットの先生の講演があり,医師を含めたくさんの多職種の方々の出席を頂きました。長崎在宅Drネットのモットーとして1 )在宅医療を希望する方が,医師が対応できないという理由で自宅に帰れない事が無いようにする。2 )自宅で療養できるだけでなく,入院中に受けたのと同様の医療を在宅で受けられる事を目指す。3 )医療,介護,福祉等と連携し最適な在宅医療を提供する。 頑張って在宅医療に取り組むのでは無く,頑張らなくても在宅医療ができる仲間,システム作りをするというものでした。 宇和島医師会でもこのDrネットを参考にして,これから在宅医療を検討していきますが,大まかな事は次の様になります。 病院を退院して在宅を希望する患者さんがいれば,連携室よりコーディネーター?医師会の事務局?訪問看護ステーション?が紹介を受け主治医を決定する。開業医の3~4人を1グループにして(中に有床診療所を必ず1つ入れる)その中の1人が主治医であり他の人は副主治医となる。あくまで主治医が責任を持つため,副主治医の出番は殆どないかもしれません。主治医が学会や旅行で不在の時,患者さんが悪くなったり亡くなったりした時などに代わりに診に行ってくれる先生がいると,精神的な負担が軽減されます。実際は殆ど主治医一人でやっていても,副主治医の存在があるだけで大きな支え・安心になると思います。 開業医が在宅医療を進めていく上で大きな負担・不安を感じるようでは前に進めません。その成功の鍵は,訪問看護ステーションや多職種の方々をうまく活用する事です。日常の医療,看護は勿論の事,緊急コール,看取りの時にもある程度まで訪問看護が対応してくれると思います。訪問看護の協力があれば,一人医師でも在宅医療は十分実践できるというのが実際のようです。 在宅医療は,外来通院医療・入院医療に次ぐ第三の医療として期待されています。開業医が診察室に座ったままで「来たら診てあげる」といった考えでは患者は増えません。外へ出て行く意欲のある先生はどんどん在宅医療をやって頂きたいと思います。 折しも市立宇和島病院は「病院完結型医療」より「地域完結型医療」への転換を目指し,我々開業医が患者さんの普段の健康管理や退院後の継続治療を行うとなっています。 市立宇和島病院の先生方・病診連携室の方には,在宅での医療を希望する患者さんを紹介して頂き,行き場のない高齢者が出ないよう連携を深めていかなければと思っています。 患者さんが住み慣れた地域・生活の場で生涯を全うできるよう努力していきたいと思っています。

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