南予医学雑誌 第14巻
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南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-80-(図2)2箇所(矢印)に核内細胞質封入体を認める。2.甲 状 腺 超音波機器が進歩し,病変に対してより正確な検体採取が可能となった。現在では超音波ガイド下穿刺吸引細胞診が主流となっている2)3)。 わが国で甲状腺癌のほとんどを占める乳頭癌は濾胞上皮細胞由来の悪性腫瘍である。なかでも高分化型乳頭癌の細胞像において,核所見としてスリガラス状の核(微細顆粒状のクロマチン)や核溝,核内細胞質封入体が観察されれば診断の決め手となる。乳頭癌の細胞像を提示する(図2)。3.乳  腺 穿刺吸引細胞診,乳頭分泌物細胞診,乳頭擦過細胞診が施行される4)。検査開始当初は診断の精度が低く,穿刺吸引後に生検組織を採取し対比したり,迅速標本から捺印標本を作製したりして細胞診断の感度を向上させてきた。現在では不必要な生検を避けるべく,穿刺吸引細胞診で鑑別困難な症例と化学療法症例に対してのみ生検を行っている。鏡検の際には背景,構造異型,筋上皮細胞との二相性の有無,細胞異型などが重要である。硬癌の細胞像を提示する(図3)。なお,浸潤性乳管癌の硬癌や特殊型の浸潤性小葉癌に細胞質内小腺腔の出現率が高い。

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