南予医学雑誌 第14巻
73/114

南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-71-  ビスホスホネート投与中に生じた非定型骨盤骨折の1例 渡 森 一 光,鶴 岡 裕 昭,藤 井 裕 子,大 森   徹 市立宇和島病院 整形外科受稿日 平成25年6月10日受理日 平成25年8月14日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 整形外科 渡森 一光はじめに 高齢者の増加に伴い,骨粗鬆症の患者数は増加している。2011年度版骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン1)によれば,その推定患者数は1280万人(男性300万人,女性980万人)であった。骨粗鬆症は骨折の最大の危険因子であるとともに,生命予後に対しても顕著な影響を及ぼしていることが多数報告されており,予防と治療が重要である。治療の1つである薬物療法においては,ビスホスホネート(以下,BP)製剤が頻用されている。BP製剤は速やかに骨密度を上昇させ骨折のリスクを減少させるが,一方で非定型骨折やBP系薬剤関連顎骨壊死との関連が報告されおり注意を要   旨 高齢者の増加に伴い,骨粗鬆症治療の必要性は高まっている。薬物治療としてはビスホスホネート(BP)製剤や選択的エストロゲン受容体モジュレーター製剤が第一選択薬として使用される。特にBP製剤は速やかに骨密度を上昇させ,骨折のリスクを軽減させるため頻用されるが,非定型骨折やBP系薬剤関連顎骨壊死と関連があるとの報告があり注意を要す。 今回我々はBP長期投与中に非定型骨盤骨折を発症した1例を経験した。現在のところ手術は行わず,BP製剤の中止および骨盤ベルトでの固定を行い症状緩和が得られている。非定型骨折を発症した場合はBP製剤の投与を中止し,手術療法や骨形成促進薬の使用を検討すべきである。 (南予医誌 2013;14:71-77.)Key Words:骨粗鬆症,ビスホスホネート製剤,非定型骨折,骨盤骨折

元のページ  ../index.html#73

このブックを見る