南予医学雑誌 第14巻
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南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-70-  β遮断薬が奏功した左室流出路狭窄を合併した  タコツボ型心筋症 -症例報告- 池 田 俊太郎,宇 賀 小百合,村 上 千 佳,中 村 真 幸 門 田 久 紀,清 水 秀 晃,大 島 清 孝,濱 田 希 臣 市立宇和島病院 循環器内科 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1抄   録 82歳の女性が冷汗を伴う胸痛を主訴に当院救急外来を受診した。心電図にて胸部誘導にST上昇を認めるため急性冠症候群を疑い緊急冠動脈造影を施行した。左右冠動脈ともに有意狭窄は認めなかったが,左室造影では心尖部の無収縮と心基部の過収縮を伴う,いわゆる壺型を呈しておりタコツボ型心筋症と診断した。経胸壁ドップラー心エコー図では閉塞性肥大型心筋症類似の左室流出路閉塞パターンを呈していた。β遮断薬であるpropranololの経静脈内投与により圧較差は消失した。以後経過は順調で退院時左室造影では急性期に認められた壁運動異常は正常化していた。急性期の冠予備能は1.3倍と著しい低下を呈していたが,退院時には2.3倍と改善が認められた。心筋交感神経イメージングである,123-I- β-metyl-iodobenzyl-guanidine (MIBG) 心筋シンチグラフィーの心縦隔比は経時的に改善を認めた。タコツボ型心筋症では交感神経刺激に対する過敏性や心筋微小循環障害が病因に関与していることが示唆された。 (南予医誌 2013;14:62-70.)Key word:タコツボ型心筋症,左室流出路狭窄,β遮断薬

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