南予医学雑誌 第14巻
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南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-58-(図5) 乳腺針生検病理結果(×40)(症例1) HE染色では一部にsignet-ring cell類似の形態を持つ異型細胞が索状に増殖していた。免疫染色でCK7陽性、CK20陰性、ER陽性、PgR弱陽性、GCDFP-15弱陽性、E-cadherin陰性であった。 胃粘膜生検病理結果:軽度線維化を伴うsignet-ring cell様の異型細胞が弧在性,索状に浸潤増殖していた。一部の細胞には胞体内粘液空胞も観察された。免疫染色ではCK7陽性,CK20陰性,ER陽性,PgR陽性,GCDFP-15陽性,E-cadherinはわずかに陽性であった。 乳腺針生検病理結果:粘液を胞体に含み,偏在した核を持つ異型細胞が弧在性,索状に配列し,浸潤増殖していた。免疫染色でCK7陽性,CK20陰性,ER陽性,PgR陰性,GCDFP-15陽性,E-cadherinは弱陽性であった。乳管癌と小葉癌の鑑別は困難であったが,胃転移をしていることや,signet-ring cell様の異型細胞が見られていることを考えると,乳腺浸潤性小葉癌の胃転移の可能性が高いと考えられた。 経 過:乳癌に対してタモキシフェンによる内分泌療法を,骨転移に対してビスホスホネート製剤の投与を行っていたが1年2ヶ月後にPDとなり,アナストロゾールに変更された。さらに8ヵ月後にPDとなり,ベバシズマブ+パクリタキセルを導入し現在も加療中である。症例3 患 者:59歳,女性。 主 訴:心窩部痛,嘔気。 既往歴:19年前右乳癌を手術し,小葉癌であった。術後9年間化学内分泌療法を図CK7CK20ERPgRGCDFP-15E-cadherinHE

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