南予医学雑誌 第14巻
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上野、他:乳癌胃転移の3例南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-57-(図4) 胃粘膜生検病理結果(×40)(症例1) HE染色では、明るい胞体を持つ異型細胞が弧在性、索状、胞巣状に増殖していた。免疫染色ではCK7陽性、CK20陰性、ER陽性、PgR陽性、GCDFP15弱陽性、E-cadherin陰性であった。CK7CK20ERPgRGCDFP-15E-cadherinHEた。そのため,アドリアマイシン+シクロホスファミドを投与したが有害事象が強く,さらにフルベストラントに変更したがPDとなった。再度ベバシズマブ+パクリタキセルに変更し,腹水コントロール良好となり,現在も投与中である。症例2 患 者:82歳,女性。 主 訴:全身の体動痛。 既往歴:特記事項なし。 現病歴:2ヶ月前から左足,右肩,背部の痛みがあり近医を受診した。貧血や右肩骨折を指摘され,精査加療目的に当院を紹介受診した。 入院時身体所見:身長141㎝,体重35.6㎏。眼瞼結膜は蒼白。右肩挙上困難を認めた。 入院時血液検査所見:RBC 269万/μl,Hb 8.3 g/dlと貧血を認めた。Caは12.1mg/dlと上昇していた。腫瘍マーカーはCA19-9 44.5U/ml,CEA 44.2ng/ml,CA125 210.6U/mlと上昇していた。 胸腹部単純CT検査所見:全身骨に多数の骨溶解像があった。右乳腺には脂肪織の腫脹を認めた。 上部消化管内視鏡検査所見:送気をしても胃は伸展不良で,大彎のひだは消失していた。胃体部には易出血性で浅い不整形の潰瘍が多発していた。

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