南予医学雑誌 第14巻
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南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-54-  乳癌胃転移の3例 上 野 義 智1),竹 下 英 次1),宮 本 安 尚1), 清 家 裕 貴1),岡 本 傳 男1),市 川 幹 郎1), 岡 田 憲 三2),中 西   護3) 1)市立宇和島病院 消化器内科 2)市立宇和島病院 外科 3)市立宇和島病院 臨床検査科受稿日 平成25年3月28日受理日 平成25年8月15日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 消化器内科 上野 義智E-mail:kafi@live.jp緒 言 乳癌の転移は肺や骨に多く,胃への転移は比較的稀と言われている。今回我々は乳癌の胃転移を3例経験したので,文献的考察を含めて報告する。症例1 患 者:61歳,女性。 主 訴:上腹部痛,腹部膨満。 既往歴:10年前くも膜下出血手術。 現病歴:上腹部痛,腹部膨満を主訴に近医受診し,上部消化管内視鏡検査でひだの肥厚とびらんを認め,生検でsignet-ring cellを指摘された。CT検査では大量の腹水を認め,進行胃癌の疑いで当院を紹介受診した。要   旨 今回我々は,乳癌の胃転移を3例経験したので報告する。症例は59歳,61歳,82歳の女性。3例とも上部消化管内視鏡及び組織生検にて乳癌胃転移と診断された。いずれの症例も乳癌は胃だけでなく,卵巣や骨へ転移しており,現在は3例とも化学療法,内分泌療法を行っている。乳癌胃転移の肉眼型は4型,もしくはlinitis plastica様の外観を示すことが多いと言われており,今回の3例でも4型の内視鏡像を呈していた。4型胃腫瘍を認めた場合,乳癌の胃転移の可能性も考慮し,検討することが必要と考えられた。 (南予医誌 2013;14:54-61.)Key Words:乳癌,胃転移

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