南予医学雑誌 第14巻
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岡崎、他:慢性腎不全を合併したLPL欠損症の食事指導南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-49-(図1)遠心分離結果 症例患者の血液を遠心分離すると上部にクリーム層が確認された。血液を遠心分離すると, LPL欠損症に見られるクリーム層が確認された(図1)。  【入院中の経過】   入院当初はCKDのステージ4の食事基準に則り, エネルギー1600 kcal/日, タンパク質40 g/日, 塩分6 g/日未満のタンパク質, 塩分制限食で対応した(エネルギー32.3 kcal/IBWkg, タンパク質 0.8 g/IBWkg)。その後, LPL欠損症と診断された。脂肪エネルギー比は総エネルギーの15 %以下の脂質25 g/日以下とした。栄養食事指導は入院中に2回実施し, 初回は慢性腎不全に対するタンパク質制限について, 2回目はLPL欠損症の診断後に脂質制限について実施した。食事療法が複雑となるため, 栄養食事指導は脂質含有量が多い食品のリストと治療用特殊食品のカタログを使用し, 食材の選択方法と目安量について説明を行った(図2)。TGは3454 ㎎/dLから884 ㎎/dLまで低下し, 退院となった。 【退院後の経過】   退院直後は食材の計量を行い, 病院で提供していた食事と近い内容で食事療法が行えていたが, 制限食は家族と同じものが食べられないというストレスから疲労感が見られた。また, 食事療法が長期になると, 食材の計量を中止し調理を行っていたためタンパク質の過剰摂取が見られた。脂質に関しては普段から油脂類の使用頻度が少なかったため, 指示範囲内であった。また間食もあり, 和菓子や洋菓子など食べたいものを夕食後に食べる習慣が身についていた。各問題点に関して, 毎回外来栄養食事指導でアドバイスを行い, フードモデルや治療用特殊食品のサンプルを用いて改善点を説明した(表2)。対照

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