南予医学雑誌 第14巻
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南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-47-  慢性腎不全を合併したリポ蛋白リパーゼ欠損症患者に栄養食事指導を中心とした介入を行った一例 岡 崎 真由美1),山 崎   幸1),清 水 さゆり1), 薬師寺   桂1),杉 本 み き1),赤 松 貴 代1), 大 杉 弘 子1),藤 井 文 子1), 江 口   透2),宮 内 省 蔵2) 1)市立宇和島病院 食養科 2)市立宇和島病院 内科受稿日 平成25年3月27日受理日 平成25年8月7日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 食養科 岡崎真由美はじめに リポ蛋白リパーゼ(以下, LPL)欠損症は, 発症頻度が100万人に1人と極めて稀な常染色体劣性遺伝疾患である。LPLが欠損することで腸管から吸収されたカイロミクロンが代謝されず, 著明な高トリグリセライド(以下, TG)血症を来し, 急性膵炎発症の原因となる。予防のためにはTG 1000 ㎎/dL以下を目標として脂質コントロールを行うことが重要とされている1)。今回我々は, LPL欠損症と慢性腎不全を合併している患者に対しタンパク質と脂質の制限食を提供し, 栄養食事指導を継続して要   旨 症例は68歳女性。2012年6月に慢性腎不全を合併したリポ蛋白リパーゼ欠損症による脂質異常症(高脂血症)を認め,当院入院となった。検査所見はTG 3454 ㎎/dL, T-C 354 ㎎/dL, HDL-C 32 ㎎/dL, LDL-C undetectable, BUN 58 ㎎/dL, Cr 2.03 ㎎/dL, Post-heparin plasma LPL activity 測定感度以下であった。食事療法としてタンパク質 40 g/日(0.8 g/kg of body weight) , 脂質25 g/日以下(総エネルギーの15 % 以下)とした。2週間の入院によりTG 3454 ㎎/dLは884 ㎎/dLに改善した。タンパク質制限, 脂質制限による食事療法を維持するのは困難であるが,治療用特殊食品や定期的な栄養食事指導により, TG は1000 ㎎/dL以下で推移した。 (南予医誌 2013;14:47-53.)Key Words:リポ蛋白リパーゼ欠損症, 慢性腎不全, 脂質制限食,       タンパク質制限食, 栄養食事指導

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