南予医学雑誌 第14巻
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南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-2-生理的な条件では陽性にチャージされているため,容易に糸球体を通過することができる。シスタチンCの測定 1979年LofbergとGrubbによって,初めてウサギ抗血清を用いたエンザイムイムノアッサイ法によるシスタチンCの測定系が確立された4)。この方法を用いて血清および脳脊髄液でシスタチンCの測定が行われ,脳脊髄液と血清のシスタチンC濃度は5.5:1で高濃度のシスタチンCが,脳脊髄液で碓認された。血中シスタチンCは比較的安定しており,これは血中に多量に存在するα1-アンチトリプシン,α2-マイクログロブリン等のプロテネース阻害物質によりシスタチンCの分解が抑制されるためである。血漿と血清サンプルの間でシスタチンC濃度に明らかな差は認められない。最も注目されている血中シスタチンCの測定意義は,Crに代わる糸球体ろ過値を表す指標としての有用性である。シスタチンCと糸球体ろ過値(GFR) 1985年にSimonsenらによって初めて血中シスタチンCと糸球体ろ過値との関連が報告された5)。β2-マイクログロブリンなどの低分子量の蛋白は,糸球体でろ過された後,尿細管で再吸収され分解されるか,尿中に排泄される。このため低分子量蛋白の血中濃度は糸球体ろ過値を表す指標となる。シスタチンCは,β2-マイクログロブリン(MW:11,800)とほぼ同等の分子量であるため,糸球体ろ過値との関連性が検討された。Simonsenらは平均39歳の106人の慢性腎臓病(CKD)患者を対象に,血中シスタチンC,β2-マイクログロブリン,Crおよびレチノール結合蛋白(M(図1) シスタチンCの腎臓での動態③尿細管で再吸収されるが、そこで分解される②すべて糸球体で濾過・13kDのタンパク質・Cystein protease inhibitor・Cystatin superfamilyの一つ・年齢性別、筋肉量、炎症などの影響を受けにくい①あらゆる有核細胞で産生●●●●●●●●輸入細動脈輸出細動脈××××××××図1シスタチンCの腎臓での動態

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