南予医学雑誌 第14巻
37/114

元木、他:小児化膿性仙腸関節炎南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-35-(図3) 症例1 発症3カ月後 骨盤MRI(脂肪抑制像)骨の浮腫状変化はほぼ消失している(矢尻) 主 訴:発熱 歩行困難 左臀部痛 現病歴:2010年10月某日より発熱,左臀部痛を認めていた。発症7日目からは歩行時痛が見られたため,発症9日目に当院の整形外科を受診したところ,尾骨損傷が疑われ経過観察とされていた。発症11日目にかけて発熱および左臀部痛が持続するため他院整形外科を受診した際,腰椎MRIを受けたが異常はなく(後に確認したところ,撮像範囲に仙腸関節が含まれていなかった),WBC 9300/μℓ,CRP 2.79㎎/㎗と炎症反応が軽度上昇していたため,抗生剤を処方された。症状は一旦軽快したが発症17日目から38℃を超える発熱と左臀部痛,歩行困難を認めたため,発症20日目に当科を再診した。 入院時現症:体温:40.0℃,咽頭・扁桃:発赤なし,肺音:清,心音:純・整,腹部:平坦・軟・圧痛なし,腸蠕動音:正常,左股関節に屈曲時の疼痛はあるが可動域制限はなし 入院時検査所見:(表2) 入院後経過:各種検査より化膿性関節炎や骨髄炎を強く疑ったため,抗生剤はスペクトルの広いPAPM/BPを使用した。入院翌日(発症21日目)の腰~股関節MRIにて左仙腸関節を中心にT1強調像で低信号域,T2強調像で軽度の高信号域,脂肪抑制像で著明な高信号域を認め,左化膿性仙腸関節炎と診断された(図4)。また血液培養にても黄色ブドウ球菌が検出され,菌血症も伴っていた。発症22日目には解熱を認め,局所の疼痛も軽減した。発症26日目に血液培養の結果感受性のあるCMZに変更したが,その後も疼痛はなく歩行に支障もないため,CRP陰性化を確認し発症44日目にCMZを終了し退院した。抗生剤中止図3症例1発症3カ月後骨盤MRI(脂肪抑制像)

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る