南予医学雑誌 第14巻
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南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-28- バセドウ病とEB virusとの関連はこれまで不明であった。EB virus感染は関節リウマチ, 全身性エリテマトーシス, 多発性硬化症及び橋本病の自己免疫疾患の発症に関与することが報告されている。特に近年は, IMに伴ったバセドウ病の報告例が散見されるようになった。その機序としてEB virus感染により, IL-1, IL-8, TNF-α, IFN-γが産生を誘導し, クローン性の抗体が過剰に産生され, HLA classⅡの遺伝子発現, 自己抗体やAutoreactive T cellの出現に関与し, バセドウ病を発症する可能性が報告されている 6) 。 本症例は当科初診時にIMとバセドウ病の診断基準を満たしていた。発熱, 咽頭痛を主訴に近医を受診していること, 長期間の甲状腺機能亢進状態を疑わせる数か月前からの体重減少や心房細動の所見は認めなかったことより, バセドウ病の発症もほぼ同時期と考えられた。 これまでIMに伴ったバセドウ病の本邦報告例は6例あり7, 8), その特徴を検討してみると(表4), 甲状腺機能に関しては, 年齢17.8±1.9歳(mean±S.D. 以下同様), 男性1名, 女性5名, TSH < 0.01 μIU/mL, FT3 17.0±4.0 pg/mL, FT4 5.4±1.5 ng/dL, TRAb 8.0±6.3 IU/mLと軽度~中等度の甲状腺機能亢進症を認めた。またいずれの症例も, IMの改善とともにバセドウ病も軽快し, MMIを漸減し, 寛解または少量のMMIでeuthyroidに維持されていた。 これまでの報告は比較的若年者であったが,本症例は比較的高齢でEB virusによるIMを伴ったバセドウ病の合併を認めた。IMは15~24歳に感染する頻度が最も高く, 90~95 %の成人がEB virus既感染であるとされている9)。また, 成人でのIMは2 %以下であるが10), 高齢の発症になるほど重症化する傾向があることが報告されている11)。本症例はIMによるバセドウ病以外の合併症に関して脾臓破裂, 髄膜炎,脳炎など重篤な疾患は認めなかった。退院後経過は良好で, これまでの報告と同様に, IMの改善とともにバセドウ病も軽快し, MMIを漸減し, 寛解した。今後の症例の蓄積, 検討に貴重な報告と考えられた。(表4) IMを合併したバセドウ病の症例8, 9)年齢(歳)性別TSH(µIU/L)FT3(pg/mL)FT4(ng/dL)TRAb human(IU/L)TBⅡ(%)EB VCA IgMEB VCA IgGEB EBNA120女<0.0122.06.806.4-×160×1280×10219女<0.0121.56.90-40.4×20×160×10319女<0.0114.85.7119.2-×20×640×10416女<0.0114.84.033.6-×160-×10518男<0.0116.75.505.8-×640-×10615女<0.0112.03.205.0-×320-×10

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