南予医学雑誌 第14巻
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江口、他:伝染性単核球症に合併したバセドウ病例南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-25-  【現病歴】 2011年6月上旬より38度台の発熱,咽頭痛を認めた。近医で異型リンパ球, 肝機能障害, 甲状腺機能亢進症を指摘され, 6月中旬に当科紹介, 入院となった。 【生活歴】喫煙:なし, 飲酒:なし  【アレルギー歴】特記事項なし  【身体所見】身長155.0㎝, 体重42.7㎏,   BMI 17.8 kg/㎡, 体温38.5度, 血圧 134/82 ㎜Hg, 脈拍109/分, 整。眼球突出なし, 口蓋扁桃の発赤腫脹あり, 甲状腺腫大あり, 両側頚部リンパ節腫脹あり, 肝脾腫あり入院後経過 臨床像で発熱, リンパ節腫脹, 扁桃炎, 肝脾腫, 肝機能障害を認めた。血液像でリンパ球増加と大型・異形リンパ球著明増加を認めた。血清学的検査はEB VCA-IgM ×80, EB VCA-IgG ×160, EBNA抗体 <×10であった(表1)。以上より, 伝染性単核球症と診断した(表2)。また, TSH < 0.01 μIU/mL, FT3 7.55 pg/mL, FT4 2.91 ng/dL, TRAb 6.2 IU/mLと甲状腺機能亢進症を認めた。頚部エコー(図1)で甲状腺のびまん性腫大を認め, 99m Tcシンチグラフィ(図2)で甲状腺全体にuptake増加を認めた。以上より, バセドウ病と診断した。 伝染性単核球症の治療は, 安静と対処療法を行った。バセドウ病の治療は, 肝機能障害を認めており, チアマゾール(MMI)の内服は行わず, ヨウ化カリウム(KI) 100 ㎎/日の内服から開始した。入院2週間後, 発熱, リンパ節腫脹, 扁桃炎は改善した。また, TSH < 0.01 μIU/mL, FT3 2.72 pg/mL, FT4 1.13 ng/dL, AST 54 U/L, ALT 90 U/(表1) 入院時検査所見【尿検査】【生化学】【免疫】タンパク(-)T-bil0.7㎎/dLIgM143㎎/dLブドウ糖(-)D-bil0.3㎎/dLIgG1652㎎/dLケトン体(-)AST260U/LIgM HA抗体(-)潜血(-)ALT277U/LHBs抗原(-)ALP541U/LHCV抗体(-)【血算】γ-GTP154U/LIgM EB VCA抗体×80WBC10100/µLTP6.9㎎/dLIgG EB VCA抗体×160Neut13%Alb3.7㎎/dLEBNA抗体<10Lymph75%TC126㎎/dLAtypical-Lymph20%TG81㎎/dL【甲状腺機能】Mono9%BUN15㎎/dLTSH<0.01µU/mLEos0%Cr0.44㎎/dLFT37.55pg/mLBaso3%Na141mEq/LFT42.91ng/dLRBC4.56×106/µLK3.9mEq/LTRAb6.2IU/mLHb13.2g/dLCl107mEq/LTPOAb249.2IU/mLHt38.5%Ca8.6mEq/LTgAb454.7IU/mLPlt7.9×104/µLCRP0.59㎎/dL

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