南予医学雑誌 第13巻 第1号
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南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-66-とはなかったが,念のため当診療所の受診をすすめていた。しかし,当院受診の足が無く受診は無理とのことであったが,実兄の運転する車で来院した。左側の不全麻痺,病的反射が残っているが,聴診所見に異常はなく,心電図にも異常を認めなかった。現在の薬剤で十分血圧はコントロールされていること,肉体的にも明らかな異常のないことを説明した。非常に安心したとの御礼をいただいた。 Y.S.82歳:A.Y.さんの実兄。現在自覚症状はないが,高血圧,糖尿病を合併しており冠動脈形成術を受けていることが判明。今回の震災後薬剤の内服が不定期であり,特に冠動脈形成術後に必須の薬剤を内服していなかった。しっかり内服しないと再発の可能性があることを説明した。③テレビ愛媛からのインタビュー 外来診察終了後テレビ愛媛から矢継ぎ早に幾つか質問がなされた(原口君の内容とは全く異なる)。 (i)“先生,こちらでの診察はやはり特別なものがありますか?“ “ありません。宇和島でも一生懸命診察を行っていますのでこちらでも宇和島と同じように一生懸命行うのみです。” (ii)“こちらでの診察はどの辺に注意して行っているでしょうか?” “肉体的な障害の診察を行うことを通じて出来れば心のケアに繋がればよいとおもっています。” (iii)“震災,津波の影響を受けた方々の病気の内容に特徴はあるでしょうか?” “特に循環器系疾患の増悪や新たな循環器系疾患の出現が考えられます。特に高血圧の増悪が著しいと思います。” (iv)“今回の医療支援に参加したことが愛媛に震災がおきた時にどのように役に立つのでしょうか?” “これはわかりません。我々が支援として活動を開始したのは北上地区のみです。その他の地域の現状はテレビでしか確認できておりません。従って今回の震災が総括されてからそれぞれの地域にあわせて考えていかねばならないと思っています。ただし,石巻赤十字病院で執り行っている一箇所にセンター方式を取ることの重要性は認識いたしました。もう一点重要な点に気がつきました。今回のように災害があまりにも大きいと医療チームの力は強力とは言い難い。我々の支援を実行できるよう縁の下の力持ちの役割を担ってくれている自衛隊の重要性が認識できました。”③昼食後個人宅の診療 橋浦診療所から徒歩数分の地の個人宅を訪問した。テレビ愛媛は既に患者さん,その家族からの取材の了承を得ていた。歩きながらの取材である。マイクは森田君につけて貰った。数箇所の褥瘡に対し久米,兵頭両看護師のあざやかな処置が行われた。森田君が患者本人に褥瘡予防の秘策について説明。④自衛隊,警察官,消防署員等の活動 我々が北上地区の支援活動にはいり各避難所の診察に車で走る道すがら最も目に付くのは自衛隊員の活動である(図14)。壊れた道の応急処置を黙々と行っている隊員,また北上川沿いの道路の陸地側にある幅数メートルの水路にあるゴミを起重機で丁寧に手前側に取り寄せている何名もの隊員がいる。23日朝,多数のパトカーが走り我々も少し緊張した。パトカーは北上地区の被災本部のある「にっこりサンパーク」へいたる上り口にある

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