南予医学雑誌 第13巻 第1号
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南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-4-いる(図2)。 日本における肝移植適応疾患と愛媛大学で施行した患者の適応疾患の比率を示す(図3)。2008年9月保険適応が改正され,多くの疾患が保険適応となっている(表2)。近年,成人のB型,C型肝炎ウイルス関連肝硬変,肝細胞癌が増加している。愛媛大学では,原発性胆汁性肝硬変がやや多い。 日本の保険適応では,肝細胞癌の肝移植の適応は大きさと個数で制限されている。ミラノ基準3)をもとに作成され,古典的な肝細胞癌(動脈期で高吸収域,門脈期で低吸収域として描出される腫瘍)で5㎝以内,1個もしくは3㎝,3個以内が適応である。近年,この基準を超えた場合でも予後の良い症例があることより各施設からいくつかの基準が提唱されている4)。肝癌に対し他の治療を行った場合に完全壊死に陥っている結節は,肝癌の個数には含めないが,治療を終了した日から3ヶ月以上経過後かつ移植前1月以内の術前画像を基に判定する必要がある。65歳以下の比較的若い患者で肝機能の低下により肝細胞癌の治療が困難な場合や短期間に肝細胞癌の再発を繰り返すような場合には,肝移植を視野にいれた対応が必要と考えられる。 アルコール性肝硬変に対する移植も近年増加傾向である。アルコール性肝硬変においては移植後の再飲酒の問題があり,断酒の意思確認の方法として術前の断酒期間が重要とされる。断酒期間として6か月を必(図3) 肝移植適応疾患肝移植適応疾患Figure 2日本肝移植適応疾患n=5510愛媛大学肝移植適応疾患n=45胆道閉鎖症急性肝不全代謝性肝疾患胆道閉鎖症急性肝不全代謝性肝疾患他腫瘍急性肝不全HCCPBCHCCPBCPSC血管性HCC他胆汁うっ滞性肝疾患HCVHBVアルコール他肝細胞性肝疾患血管性HCVHBVアルコール他肝細胞性肝疾患2010 .12 日本肝移植研究会肝移植症例登録

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