南予医学雑誌 第13巻 第1号
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南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-53- 平成22年7月1日より市立宇和島病院は,DPC/PDPSによる入院診療報酬請求が開始となりました。 さて,ご存じの方も多いかとは思いますがDPC/PDPSとは診断群分類(DPC:Diagnosis Procedure Combination)と呼ばれる分類方法を用いた1日当たりの定額報酬支払制度(PDPS:Per-Diem Payment System)を表します。DPCは,1入院期間中に最も医療資源を投じたと考えられる傷病名を決定し,その傷病名に予め設定されてある手術・処置等を選択することにより診療報酬が決定される請求制度となります。1傷病名を選択することから分かるように1入院1疾患の考え方で,主として急性期病院が対象となる請求制度です。 従来の入院診療報酬請求は,出来高方式(行われた医療行為を積み上げていき診療受稿日 平成24年2月29日受理日 平成24年9月26日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 医事課 診療情報管理室診療情報管理士 谷脇 広樹報酬が決定される制度)です。一方,DPC/PDPSでは,診断群分類で決定された分類に1日当たりの金額が設定されていて,その金額を日数分積み上げる方式(但し,手術に係る費用等一部出来高方式で積み上げられたものも加算される)です(図1)。出来高方式では,行った診療は積み上げて算定できるため,薬剤の過剰投与や不要な検査が行われること等の問題,医療の質が高く早期に退院できる施設では診療報酬が減るといった矛盾も含んでいました。これがDPC/PDPSになると,1日当たりの金額が決定されているため,質の高い医療を提供し,設定金額を下回る医療コストで退院となれば差額が自院の利益になります。反対に回復に時間がかかり,長期の入院になれば自院の利益が減るばかりか損失に転じるといったことにもなりかねません。 DPC/PDPSでは診断群分類によって1日当たりの診療報酬が決まっていると述べましたが,どうやって決まっているのでしょう。それが,DPC/PDPSに関わる医療機関(DPC対象病院及びDPC準備病 DPC/PDPSを開始して 谷 脇 広 樹 市立宇和島病院 医事課 診療情報管理室 なんよだより

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