南予医学雑誌 第13巻 第1号
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山下:がん研有明病院研修南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-51- マンモグラフィは乳癌の診療においては欠かすことのできない,非常に奥が深い検査です。読影はまず,2,3人のレジデントで1日分の1次読影をした後,A判定のスタッフが2次読影をします。2次読影の際に,同席し自分の読影のどこが間違っているとか,ここを見落としていたなどを教えてもらうことができます。ちなみに,がん研のスタッフ,2年目以降のレジデントの多くがA判定を持っています。B判定の私はA判定を取るために講習会をしてもらったり,特製の試験対策用のマンモグラフィを解いたりして,何とか研修終了後にA判定を取ることが出来ました。 乳腺超音波や乳管内視鏡などのエキスパートの先生方がおり,乳管内視鏡などは自分の施設ではできませんが,乳腺疾患を捉える上でとても勉強になりました。 手術に関しても,非常に細かくこだわった郭清の手技や,乳腺部分切除後の欠損部の充填法などたくさんのことを学ぶことができました。「學而時習之,不亦説乎。」 論語の冒頭の一句ですが,今回の研修の感想はずばりこの一句です。カンファレンスなどでも容赦はありません。画像の所見の提示や治療方針はもちろんのこと,言葉をひとつ間違えただけで細かく訂正されます。皆がそれぞれを評価し,間違いがないように監視しあっているような状況で,非常に緊張感のある毎日でした。 時には,仕事を離れて浴衣や甚平を着て屋形舟に乗ったり(写真2),外来の中待合のなかで送別会(写真3)をしたり,心和むイベントもたくさんありました。若手だけで飲みに行くと,乳腺疾患のマニアックな熱いトークで盛り上ることも日常でした。 入院診療だけではなく,外来業務に追われる毎日でしたが,そのなかでもたくさんの学びがありました。視触診については,たくさんの患者の触診をすることができとても良い経験になり,視触診の奥深さについて再認識しました。乳癌のよくある組織型で硬癌というものがあり,スピキュラを形成し間質結合織の増生を伴っているのですが,それを反映して触診上ではpseudoli-pomatas massと表現されます。あるとき,初診で見た患者様でこれは絶対に癌ではなく脂肪腫だと感じたことがありましたが,それは硬癌でした。(写真2)(写真3)

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