南予医学雑誌 第13巻 第1号
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森、他:内科外来のフットケア例南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-45- 図1.フットケア初回 を開始したが,血糖コントロールが不良であったため,同年8月に血糖コントロールの目的にて入院,血漿血糖106㎎ /㎗,HbA1c 7.3%で退院した。同年10月,帝王切開により第3子を出産した。 2010年10月,外来再診時,「足がただれている」との訴えがあり,医師よりフットケアの指示が出た。「ヘルパーの仕事をしており,素足での入浴介助が多く足のあれた状態が続いていた。皮膚の落屑も自分で除去していた。自分でもひどくなっているのがわかる。足の感覚はしっかりあるけど言われてみれば少ししびれているかもしれない。」と患者から発言があった。初回フットケア時には,右踵部周辺が広範囲にわたり発赤,皮膚剥離しており,左第2・4・5趾先端が発赤して潰瘍になりかけていた(図1)。足浴,爪切り,角質処置を実施,足の皮膚乾燥や発赤に注意すること,爪を切りすぎて深爪にならないようにすることを指導し,皮膚科も受診するよう勧めた。患者も以前と比べ皮膚が広範囲にわた(図1)フットケア初回り発赤していることに気付いていたが,他院から処方された軟膏を塗布していなかった。趾先の潰瘍になりかけている部分は,痛みの自覚がなく悪化する可能性が高く,引き続き観察していく必要があると評価した。1~2週間後にフットケア再診を勧めたが,「仕事があり来院できない」とのことだった。 2010年12月,2回目のフットケア実施時には,左趾先端に発赤が残っていたが乾燥していた。右下肢の病状は改善していなかった。皮膚科は受診していなかったが,軟膏塗布はできていた。足の観察と軟膏の塗布を続け,フットケア再診を勧めた。 2011年2月,3回目のフットケア実施時には,両下肢の皮膚の状態の悪化はみられなかった。「仕事の時,長靴を履かず素足で入浴介助をしている。薬はなるべく塗っている。軟膏が少なくなったけどなかなか皮膚科に行けない。」と発言があった。足の観察を継続する必要性を指導してきたことが,自分の足の皮膚状態を悪化させな

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