南予医学雑誌 第13巻 第1号
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南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-42-ロイド治療の目的は毒素を可能な限り除去した上での炎症性二次障害予防であるということも明確に意識しなければならない。 一方でステロイド全身投与は後眼部の消炎効果も期待できるが,前田らの症例ように後眼部にまで毒素が波及したような症例では,全身投与量を増やしても視機能への有効性は明らかでない印象を受けた2)。 スズメバチ角膜刺傷は,毒素による眼組織障害が重篤で,有効な中和抗体・薬剤もないため,治療の原則は毒素の物理的除去となる。同疾患における急性期の治療目的は,角膜および眼内障害を可能な限り防ぎ,視機能維持の可能性をいかに保つことができるか,という点にあると言える。そのためには迅速な前房洗浄と頻回の結膜下注射を中心としたステロイド局所投与の徹底が重要であることが再認識された。【参考文献】1) 岩見達也,西田保裕,村田豊隆,他:角膜蜂刺症の2症例.あたらしい眼科2003; 20: 1293-1295.2) 前田政徳,國吉一樹,入船元裕,他:蜂による眼外傷の2例.眼紀 2001; 52: 514-518.3) 三木淳司,阿部達也,白鳥敦,他:スズメバチによる角膜刺傷の1例.眼紀 1994; 45: 1063-1066.4) 藤本美樹,松尾俊彦,守本佳代子,他:スズメバチによる角膜刺傷の1例.臨眼 1991; 45: 1084-1085.5) 鈴木明子,堀口正之,平野啓治,他:ハチ刺傷による眼障害の1例.眼科臨床医報 1997; 91: 162-164.6) 高望美,千葉桂三,菊池道晴,他:蜂毒のみで水疱性角膜症と白内障をきたした症例.あたらしい眼科 2008; 25: 549-552.

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