南予医学雑誌 第13巻 第1号
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大熊、他:スズメバチによる角膜刺傷例南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-39-図4:角膜内皮細胞数(受傷後3ヶ月)右眼左眼(受傷眼)右眼の角膜内皮細胞数は2777/mm2であるのに対し、受傷眼の左眼角膜内皮細胞数は460/mm2と著明に減少していた。(図4)角膜内皮細胞数(受傷後3ヶ月)(表1)角膜蜂刺傷 蜂の種類による予後の違い蜂の種類前房洗浄ステロイド投与治療後視力点眼結膜下注射点滴岩見ら1)アシナガバチorミツバチ○○○×1.5○○○×1.0前田ら2)アシナガバチ×○○×0.8三木ら3)スズメバチ○○○○0.2藤本ら4)スズメバチ○○×○0.15前田ら2)スズメバチ○○○○sl(-)鈴木ら5)スズメバチ○○×○sl(-)全眼球炎・滲出性網膜剥離を生じることもある2~5)。急性期の治療としては,眼内侵入毒素の物理的除去を図る前房洗浄と,毒素により生じる炎症の鎮静化を目的としたステロイド局所・全身投与が行われるが,受傷から前房洗浄までの時間,およびステロイドの投与方法・投与量を,本症例と過去の報告で比較し,その治療効果を検討した(表2)。 過去の報告における前房洗浄までの時間は12時間~4日,最終視力はいずれも0.2以下とその予後は厳しいものの,前田らの報告2)を除けば,受傷後早期に前房洗浄を行う程,視力予後が良い傾向が示唆された。初診時視力は全例でほぼ同等だが,受傷4日で前房洗浄を行った鈴木らの報告で

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