南予医学雑誌 第13巻 第1号
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大熊、他:スズメバチによる角膜刺傷例南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-37-125㎎/日点滴を3日間施行後,プレドニゾロン20㎎/日内服を行った。 ステロイド点眼・内服投与は受傷後2週間以降より漸減し,点眼は4ヶ月で,内服は2ヶ月で中止とした。治療経過を(図2)にまとめる。 臨床経過: 受傷後2日(前房洗浄施行後1日): 角膜全面の実質浮腫,7時角膜輪部の実質混濁に著変を認めなかったが,角膜上皮欠損は縮小していた。前房内には明らかなフィブリン形成・前房蓄膿を認めなかったが,図2:臨床経過デカドロン®1.65mg ×計8回×6×4×2×100.1%フルメトロン®点眼×4リンベタPF®点眼×264210×4×4ヒアレイン®点眼×4リンタPF点眼0.5%クラビット®点眼1502015105ステロイド全身投与(プレドニゾロン換算:mg)0.5視0.3前房洗浄(受傷24h)手動弁0.1力受傷1日8/16初診8/15受傷受傷2W9/1受傷1M9/10受傷2M10/11受傷3M11/11受傷5M1/20(図2)臨床経過フレアが高度であり,依然強い炎症が示唆された。左眼矯正視力は30㎝手動弁,眼圧は21㎜Hgであった。 受傷後3~8日:角膜上皮欠損は縮小し,受傷後4日で消失した。角膜実質浮腫は刺傷部位とは対側の1時角膜周辺部より徐々に軽快してきた(図3)。前房内炎症は改善を認め,受傷後1週間でフレアは消失し,前房内炎症細胞も軽度となった。左眼矯正視力は,受傷後7日で0.1pまで改善を認めた。眼圧は受傷後4日における24㎜Hgが最高で,以後低下し10㎜Hg前後で安定した。 受傷後9~17日:角膜実質浮腫範囲は受傷後2週間で刺入部を含む鼻下側1/4程度の範囲にまで縮小した(図3)。前房内炎症は,ごくわずかに細胞浮遊を認めるのみとなった。受傷後17日時点で左眼矯正視力0.1,眼圧10㎜Hgであった。 受傷後1~5ヶ月:受傷後2ヶ月までは角膜実質浮腫は徐々に改善し,7時付近にわずかに認めるのみとなった(図3)。左眼矯正視力は,受傷後1ヶ月で0.2,2ヶ月で0.3まで回復した。実質浮腫は改善したものの,上皮浮腫が瞳孔領を含む鼻下側に残存していたため,受傷後3~5ヶ

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