南予医学雑誌 第13巻 第1号
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南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-30-Mohs軟膏が作用した腫瘍の表面は白色調に硬化しており,CTでは硬化部位が高吸収に描出され,その深達度は9㎜程度あった。処置後4-5日頃から硬化組織は脱落し始め,1週間後にはほぼ完全に脱落した。週に1度のペースで反復して処置を続けることにより,2011年1月に永眠されるまで腫瘍増大を抑制,出血や滲出液,悪臭を著明に減少させることができた。 症例2:76歳,女性 診 断: 原発巣不明頸部癌と進行直腸癌の同時重複癌 現病歴:2009年6月頃に左顎下部腫瘤を自覚した。2009年11月下旬に近医内科を受診し,当科へ紹介された。細胞診にて扁平上皮癌と診断され,PET-CTにて全身検索を行ったところ肛門癌の疑いあり,当院外科へ紹介した。下部消化管内視鏡にて進行直腸癌(腺癌)と診断され,手術加療を勧められたが,頸部も含めて手術加療は希望されなかった。以降は当科外来にてテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム内服での加療を行っていた。2010年11月頃より急激に頸部腫瘍が増大し始め,2011年1月頃より腫瘍の自潰が始まり,過していたが,胸水および肝機能障害が出現したため,2009年7月からドセタキセルを中止,テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウムへ変更した。2010年2月頃より局所の残存腫瘍が急激に増大傾向を示し,全身倦怠感,経口摂取不良を伴ったため,2010年8月再入院した。 経過(図1):局所の腫瘍は左鼻根部から耳前部にかけて広範に露出しており,多量の滲出液および悪臭を認めた。頻回のガーゼ交換が必要となり,ガーゼ交換のたびに出血を伴うようになった。腫瘍出血の制御,腫瘍の縮小,滲出液および悪臭の軽減を目的にMohs軟膏処置を開始した。Mohs軟膏を塗布したフラジオマイシン硫酸塩貼付剤を腫瘍表面に貼付し,24時間後に除去した。その際,残存しているMohs軟膏はガーゼで払拭した。図1図1使用前時間後使用前48時間後(図1)症例1Mohs軟膏処置前Mohs軟膏処置後48時間

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