南予医学雑誌 第13巻 第1号
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川副、他:ピンチオフシンドロームの2症例南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-25-て報告された1)。それ以前にも中心静脈カテーテルが離断し血管内に残存して合併症をおこした症例や回収に成功した症例が幾つか報告されている2)~4)。その発生率は1999年のOrlandoらの報告では約0.8%といわれており5)稀な合併症である。近年,進行癌に対する抗癌化学療法を皮下植え込み型中心静脈ポートを留置して外来で施行するケースが増えており,その絶対数は増加していると考えられ,実際にカテーテル断裂の報告が散見されている。カテーテルが血管内に残存した場合,感染,血栓や塞栓,不整脈,心破裂や血管損傷の危険がありその合併症発生率は約70%と高い。それ故,発見したら積極的な抜去が勧められている2)。 血管内異物除去において,経皮的にはループスネアカテーテルによる除去,把持鉗子による除去の方法があり大きい異物であれば大腿動静脈まで移動させてcut-down法で体外へ排出させる。Pinch-off syn-dromeにおいてはカテーテルの遺残部位は右心房,右心室,肺動脈のことが多く把持鉗子では困難でありループスネアカテーテルが用いられる。カテーテル断端の遺残部位,血管径,アプローチの場所にもよるが使用可能なシステムとしてグースネックスネアやエンスネアシステム,バスケットカテーテルがある。今回我々は2症例経験したがその1症例目においてはギュン(図5)The ensnare system and removed catheter tip (A, B).

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