南予医学雑誌 第13巻 第1号
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南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-20- 経皮的な手技で血管内異物除去に成功した ピンチオフシンドロームの2症例 川 副 宏,池 田 俊太郎,宇 賀 小百合,門 田 久 紀, 清 水 秀 晃,泉 直 樹,大 島 清 孝,濱 田 希 臣 市立宇和島病院 循環器内科受稿日 平成24年3月21日受理日 平成24年7月9日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 循環器内科 池田 俊太郎はじめに 近年,本邦において有効かつ安全性の高い化学療法が確立され,進行癌に対する化学療法は皮下植え込み型中心静脈カテーテルポートを用いた外来化学療法が主流となりつつある。中心静脈ポートの留置に際して,気胸や感染などの合併症はよく知られているが,近年カテーテル断裂の報告も散見されるようになった。 中心静脈ポートを鎖骨下静脈経由で挿要 旨 従来,抗癌化学療法は入院下で施行されるケースが多かったが近年,皮下植え込み型中心静脈ポートを使用した外来化学療法が主流となりつつある。中心静脈ポートを留置するケースの増加とともに中心静脈カテーテル留置に伴う合併症の一つである留置カテーテルが断裂する症例(いわゆるピンチオフシンドローム)が増えている。今回,我々は最近経験した2症例を報告する。1症例目は65歳女性で大腸癌に対して抗癌化学療法を施行されていたが,ヘパリンフラッシュの際に左肩に疼痛と腫れを訴え,胸部レントゲン写真で断裂したカテーテル断端を右房から上大静脈の位置に認めた。右大腿静脈経由でギュンターチューリップ下大静脈フィルターリトリーバルセットを用いて体外への除去に成功した。2症例目は55歳女性で,大腸癌に対して抗癌化学療法を施行されていたが,ヘパリンフラッシュ時に左肩の疼痛と腫れを訴えたため,胸部CTを施行した。左肺動脈にカテーテル断端を認め,エンスネアシステムを用いて体外への除去に成功した。経皮的アプローチによる血管内異物除去は安全かつ有効な手技であると考えられた。 (南予医誌 2012;13:20-28.)Key Words:�Pinch-off, Retrieval, Central venous catheter port 原 著

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