南予医学雑誌 第13巻 第1号
16/84

南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-14- 過去に著者らの病棟で亡くなった小児に対する処置に際し,家族の希望によりシャンプーや部分浴などのケアを家族と一緒に実施することで大変喜ばれたという経験がある。市立宇和島病院(以下,「当院」)の看護基準には「家族の希望があれば一緒に処置を行う」とあるが,著者らの病棟では家族の希望があるのかどうか,確認することがあまりなかった。 そこで当院において,死後の処置に家族が参加することに対する看護師の意識調査を行ったので報告する。Ⅱ.対象と方法1.対象:当院に勤務する看護師338名2.方法:平成19年9月~平成20年10月 「看護職の死後のケアに関する現状調査」2)と「エンゼルケア研究で変わった私たちのケア」3)を参考にアンケート(図1)を作成し,調査を行った。なお,倫理的配慮として,質問紙上で今回の研究の主旨・目的を説明し,アンケートの回収をもって研究の同意を得たものとした。また,同意を得られない場合でも不利益を被ることはないことを書面で説明し,個人が特定できないように無記名とした。Ⅲ.結 果 アンケートは338名に配布し,回収率319名(94%),有効回答率315名(93%)であった。1 .臨床経験年数は,1年未満1%,1~3年4%,3~5年5%,5~10年13%,10~15年22%,15~20年14%,20年以上41%であった。2.処置の経験は,99%が「ある」と答えた。3 .家族参加は意味があるかでは,「ある」が84%・「ない」が12%であった。4 .看護基準を見たことがあるかでは,「ある」が56%・「ない」が44%であった。5 .家族と一緒に処置をした経験は,「ある」64%・「ない」36%であり,「ある」と回答した中で,家族からの希望があったものが91%(「ない」8%)であった。また「ない」と回答した中では,家族と一緒に行いたいと「思わない」ものが50%(「思う」37%)であった。6 .家族参加の意思確認は,「必ずしている」16%・「時々している」34%・「していない」48%であった。 「必ずしている」と回答した理由としては「先輩からの教え」「看護基準にある」「授業で習った」があった。「時々している」と回答した理由としては「家族の背景で判断する」「家族の精神状態で判断する」「身体損傷の程度により判断する」が多く,「声掛けしたが断られた」「忙しい時間帯はしない」などもあった。「していない」と回答した理由には「精神的苦痛を配慮」「環境が整っていない」「看護師が行うべき処置」などの順であった(表1)。7 .処置を一緒に行うことをどう思うかに対しては,「したほうがよい」27%・「しないほうがよい」7%・「どちらともいえない」66%であった。 「したほうがよい」と回答した理由には「家族の死の受容につながる」「最後の別れの時間となる」「家族の希望を叶えられる」「家族が参加するのは自然な行為」などが多く,「しないほうがよい」と回答した理由には「気を遣ってやりにくい」「刺激が強い」「外傷が激しいと

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です