南予医学雑誌 第13巻 第1号
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南予医誌 Vol.13 No. 1 2012-13- 死後の処置に対する意識調査 白 井 真由巳,西 村 直 子,宮 本 美 帆,山 川 ひとみ 市立宇和島病院 看護部受稿日 平成24年2月27日受理日 平成24年9月18日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 看護部 白井真由巳Ⅰ.はじめに 近年,死後の処置(看護師および家族が遺体に行う清拭・着替え・化粧などの一連のプロセスのこと,以下,「処置」という)は患者の整容のためだけでなく,遺族に対するグリーフケア(家族などの親近者・大切な人を亡くして悲嘆にくれる人に対する心のケア)の一つとしての考えが注目されている。 谷ら1)は死後の処置の段階から残された家族のケアが始まっており,またその処置を通して看護者や家族の死への学びが展開していると考えられる。看護師と共に故人との思い出話をすることや,ねぎらいや慰めの言葉をかけてもらうことは家族にとって闘病生活からの解放感や気持ちの整理をつけることへの第一歩につながると述べている。要 旨 死後の処置は患者の整容のためだけでなく,遺族に対するグリーフケアの一つとしての考え方が注目されている。 今回,市立宇和島病院に勤務する看護師338名に対し,死後の処置に対する意識調査を行った。その結果,当院の看護基準に「家族の希望があれば一緒に行う」とあるにもかかわらず,家族参加の意思確認を必ずしている看護師は少なく,一緒に処置を行うことを望んでいる家族の気持ちとずれがあるということがわかった。グリーフケアに対する意識向上をはかる必要性があると考えられた。 (南予医誌 2012;13:13-19.)Key Words:�死後の処置,家族参加,グリーフケア,看護師の意識 トピックス

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