南予医学雑誌19巻
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越智、他:八幡浜・大洲圏域における大災害時勤務交流南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-11-(図1)有床医療施設施設長の回答施設)などが上げられた(表2)。 災害時に他施設で活動してもよいと答えた職員は回答11施設中 319人で,職種別の内訳は看護師が最も多く221人(69.3%),次いで医師・看護師以外の医療職(いわゆるコ・メディカル)が67人(21.0%),事務職が28人(8.8%),医師が3人(0.9%)を占めた(図2)。319人中,活動したい医療施設の具体的な名前を上げなかった職員が102人(32.0%)を占め,一方最も多くの職員が上げたのが市の救護所で46人(14.4%)を占めた(表2)。考 察 周期的に四国などを襲う南海地震は最近,30年以内に70~80%の確率で発生すると言われている4)。この地震が,東南海地震さらには東海地震と連動する場合,揺れ・津波規模ともに約100年ごとに訪れる南海地震を遙かに上回る規模となり,最悪の想定で愛媛県内の死者は16,000人,負傷者数は47,000人に及ぶ5)。地域における人的被害を最小限にとどめるために医療機関が果たすべき責任は重く,その第一歩が勤務時間内または時間外に発生した大災害に対応するためのマンパワーを確保することである6)。 過去の大災害において,倒壊や浸水を免れ病院機能を維持できた医療施設においても,道路損壊,ガソリン入手困難,放射線汚染などのために職員が通勤できなかった例が少なくない7),8)。自院参集困難な職員が顔見知りの医療施設でトリアージを行ったというような例もあるが,一方で突然訪れた他院医師を災害時医療に組み込むことは難しかったとの証言もある8)。 想定される大災害で参集できる職員数について,災害準備期において,試算・分析した報告は見受けられない。さらには地域内の勤務交流により災害時のマンパワーを

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