南予医学雑誌 第15巻
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橋本、他:小網原発GISTの1例南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-93-有していれば,悪性所見が無くEUS-FNA未施行でも相対的手術適応であり,5㎝以上であれば絶対的手術適応である。自験例も初診時より相対的手術適応であったが,本人の同意が得られず,やむを得ず経過観察となった。 GISTの組織像は紡錘形型,類上皮型,混合型に分類される。なかでも,自験例のように葉巻様と形容される棍棒状の核を有する腫瘍細胞が束状ないし渦巻状,あるいはpatternlessと呼ばれる不規則配列を示して増生する紡錘形型がよくみられ,核周囲に空胞形成が目立つこともあるとされている。GISTは約90%でKITを発現しており,免疫染色がGISTの確定診断に必須である。また,10%の陰性例ではPDGRA遺伝子変異など追加検査を施行することとなる3)。 GIST は腫瘍径や細胞増殖能などの指標(図5) 病理所見HE染色では紡錘形細胞が束状,錯綜性に配列し増殖していた。免疫染色ではCD117陽性,CD34陽性,S-100陰性,αSMA陰性であった。MIB-1labeling indexは7%であり,低リスク GISTと診断した。CD117+CD34+S-100-αSMA-MIB-1 HE5CD117+CD34+S-100-αSMA-MIB-1 HE5を組み合わせたリスク分類が行われる。細胞増殖能の指標としては核分裂像数が一般的に用いられ。また,腫瘍発生部位により予後が異なることも示唆されている。最近ではmodied Fletcher分類(いわゆるJoensuu 分類)が,再発高リスク群のみを他のリスク群から効率的に選択する分類法として有用と報告されている4)。このJoensuu分類では,腫瘍径が10㎝以上,核分裂数が10/50HPF以上,原発臓器が胃以外であれば腫瘍径が5cm以上か核分裂数が5/50HPF以上,または腫瘍被膜破裂あり(再発がほぼ必発)といったものを高リスクとしているが,本症例は,腫瘍径5㎝未満,細胞分裂像数0/50,小網原発および腫瘍被膜破裂がないことより,低リスクGISTと判断された。 1998~2013年までの期間で医中誌およ

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